大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

浦和家庭裁判所 昭和51年(少ハ)5号 決定

少年 Y・Y(昭三一・五・一七生)

主文

本人を昭和五一年一二月二六日まで中等少年院に継続して収容する。

理由

本人は、昭和五〇年五月二七日当裁判所において中等少年院送致決定を受け、同月三〇日有明高原寮に収容されたものであるが、同所に収容中再三の規律違反があり、その非行性、問題性の改善が困難であるとの理由から同年一〇月三〇日新潟少年学院に移送収容され、当初緊張感のある生活態度であつたところ、収容後三ヶ月目頃から生活態度が弛緩しはじめ、昭和五一年二月一八日物品持込により謹慎五日、同年三月二九日他生に対する暴行、威圧により謹慎七日、同年五月七日新入生に対する暴行により謹慎二〇日に処せられるなど規律違反が繰返され、同年五月七日処遇段階が一級下へ降級となつたもので、その犯罪的傾向が未だ矯正されていないとの理由により本件申請がなされたものである。

よつて審理するに、右申請に係る事実はこれを認めることができ、前記規律違反はすべて本人の自己中心的な思考から起されたもので、本人の規範意識がなお不十分であり、またこれまでの矯正教育によつても本人の自己改善への意欲が欠けている点が認められ、現段階で本人を一般社会に復帰させるに足る犯罪的傾向の矯正は未だ果されていないと考えられるから、なお収容を継続して矯正教育を施すのが相当である。そしてその期間は本人の処遇段階、仮退院による保護観察期間等をも併せ考え、本人に対する収容期間満了日の翌日である昭和五一年五月二七日より向う七ヵ月間、すなわち同年一二月二六日までとするのが相当である。

よつて少年院法一一条四項により主文のとおり決定する。

(裁判官 福森浩)

参考一 少年院成績通知書〈省略〉

参考二 経過一覧 少年 Y・Y

年月日

事項

備考

四七・一・二一

道交法違反(無免許運転)保護事件 不開始

自庁講習

四七・八・四

窃盗保護事件 不開始

四九・五・二三

道交法違反(安全運転義務違反)保護事件 検察官送致決定

〃 五・二四

道交法違反(速度違反)保護事件 検察官送致決定

〃 五・二五

浦和家裁事件〔道交法違反(赤信号無視、無免許運転幇助)〕受理

昭和四九年少第一一、七七九 一一、九一五号

〃 一〇・一六

保護観察決定

浦和保護観察所

五〇・二・六

浦和家裁事件(窃盗保護事件) 受理

昭和五〇年少第四八一号

〃 四・三

〃(毒・劇物違反保護事件)受理

〃第一、二三七号

〃 四・二三

〃〔道交法違反(赤信号無視)保護事件〕受理

〃第一一、二五六号

〃五・七

観護措置決定

〃 五・二七

審判、中等少年院送致決定

短期処遇勧告

〃 五・三〇

有明高原寮入院、考査編入(二級下)

〃 六・四

抗告申立

申立人、少年Y・Y

〃 六・三〇

本科前期編入(一級下)

〃 七・二

抗告棄却決定

東京高裁

〃 八・二九

本科後期編入(一級上)

〃 九・一一

仮退院申請

仮退院希望日一一月二七日

〃 一〇・九

特別個別指導一〇日

窃盗、持込み、窃食秘密通信、同未遂

〃一〇・一三

仮退院申請取下げ

〃 一〇・一八

移送認可申請

〃 〃・〃

個室指導(一〇月一九日~一〇月二九日)

〃一〇・二九

移送認可受理

〃 一〇・三〇

移送

新瀉少年院

〃 〃・〃

新瀉少年院受送入院、二級上編入

〃 一一・一一

第一次分類、一寮園芸科編入

〃 一二・一

一級下復級

五一・二・一八

謹慎五日(物品持込み)

〃 三・二九

謹慎七日(暴行、威圧)

〃 四・一四

退院審査決定

〃 五・一

一級上進級

〃 五・七

謹慎二〇日(暴行)一級下降級

〃 五・一四

新瀉少年院の依頼による再鑑別実施

浦和鑑別所技官

〃 五・一七

収容継続申請

浦和家裁

五一・六・二九

審判、収容継続決定

昭和五一年一二月二六日まで

〃 五・二七

解謹、引続き夜間個別処遇

〃 六・一八

院長訓戒(生活態度不良)

〃 七・一

一級上復級

〃 七・七

仮退院申請

〃 八・二四

仮退院取下申請

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例